跳べないとべはただのドベ

えちげやライブの感想とか色々かきたいです

ソラコイ 感想

初めまして、𝓖𝓻𝓮𝓪𝓽𝓮𝓼𝓽 𝓖𝓲𝓻𝓵こととべです。

今回はChelseasoftの「ソラコイ(2015)」の感想を書いていきたいと思います。

今週末のB.G.M Liveに向けて夢乃ゆき楽曲の作品をやっていこうと思ってプレイ

 

「僕らの記憶」やらんかなぁ

 

 

 

 

簡単な総評

総評から述べると「力及ばずな1ルート特化作品だが、たしかに心に残る作品」と言ったところ。この作品はソラルートの出来が頭1つ抜けているのだが、その反面他の3人のルートがおまけレベルで薄っぺらい。また作品全体を通して平坦で波がないので退屈な話が苦手な人にとっては苦痛に感じるだろう。

正直これがフルプライスなのが衝撃すぎるくらいのクオリティの作品なのだが、ソラルートの出来、それを経た上で上がったOP,EDの解像度、クリア後の余韻など得られるものも確かにあり、一概にクソゲーとも言いづらいな、というのが個人的な感想。もし楽曲が好きならソラルートだけでもプレイすることをお勧めする

正直なところ良い部分はソラルートに詰まっているため、ネタバレなしで魅力語るとか無理だしここまでの話であんまりプレイしたいと思えないかもしれない。でもソラルートに関してはそこそこいい話だからもし積んでる人とかいたらだまされたと思ってプレイしてほしい。騙してたらごめんなさい。

推奨順はアイリ・ナギ→ヒカリ→ソラ。

 

あらすじ

映画研究会で映画を作る主人公タクト。コンクール用に映画を制作し、その結果が来るのを今か今かと心待ちにしていたある日、以前とった自分たちのドキュメンタリー映画を見ていたら幼馴染のヒカリが分裂してなんか元の性格からは想像もつかないおしとやかなヒカリが生えてきた。とりあえずその子を縁もゆかりもない不登校の生徒「ソラ」として学園に通わせることに(ひどい)

映研にも加入し部員が増えた映研では学園祭用の映画を作っていくことに。

 

登場人物

①タクト
主人公。映画のことしか頭にない映画馬鹿でもともと強くはない体を酷使して映画を撮り続ける。目標は学生映画コンクールで入賞し、監督になるための勉強をするために留学すること。
②ヒカリ
声がTwitter芸人のヒロイン。タクトと同じ日に生まれた幼馴染。タクトが大好きすぎて一緒に映研に入った。ある日なんか分裂した。
③ヒカリ2号(ソラ)
ヒロイン。ある日分裂したもう一人のヒカリ。学園に通うためにナギの助力によってタクトと同じクラスのほとんど登校しなかった生徒、ソラとして生活することに。基本スペックはヒカリの上位互換。
④アイリ
ルートもらったモブ。女優志望のタクトたちの後輩。タクトの作る映画のヒロインを演じたり自分のルートをもらえていたりするが、このゲームはソラかソラ以外なので割愛。
⑤ナギ
登場人物全員がくらす寮の寮母兼映研の部長。なんかルートがあった気がするけどこのゲームはソラかソラ以外なので割愛。
 
これ以外の人類は立ち絵も声も存在しない。
 
 

ソラルート以外の感想(微ネタバレ注意)

ここからは作品のネタバレにも踏み込みながら感想を書いていく、といってもソラ以外は大雑把にまとめるだけだが。
総評でも書いた通り、びっくりするくらい話が薄い、物語の起伏が死んでいる。
正直共通前半の日常シーンは退屈通り越して苦痛なレベルだ。
 

単調な展開

ことあるごとにヒカリとソラがいがみ合って喧嘩、それをタクトが必死になだめる…そんな展開が何度も何度も何度も何度もくる。


この繰り返し、マッジで



その間特に物語が動きだすこともない。そして共通中盤、ようやく映画製作に乗り出すと腐るほど見せられ続けてきた諍いも少なくなっていき、多少面白くなっていく。
そこで学園祭用の映画が完成していき、各ルートのヒロインと付き合いながらコンクールに出した映画が優秀賞を受賞、ヒロインに見送られ海外に留学、というのがソラを除いた全ルートの大まかな流れである。大筋のストーリーラインは同じ、ルート内の会話もソラ以外これといって光るものがなく、半分くらい義務とか作業でプレイしていた。
 

奥行のなさ

もう1つ不満点としてキャラ、舞台の少なさに起因する作品全体の奥行のなさを挙げる。キャラクターは上にあげた5人のみ、それ以外の存在はいるにはいるが会話も立ち絵もなく、すべて他のキャラの口でしか登場していない。舞台も基本的に学園、寮、ショッピングモールのみでサブキャラの投入で話の深みが~みたいなのが全くない。正直フルプライスでそのボリュームなのはどうかとも思うが、それでいてそういったサブキャラなしでも話を膨らませられたかといえばそうでもないのがほんとにこう……

主人公の空気感

この主人公、あまりにも空気すぎる。基本的に主人公に悩みや葛藤の描写がない。ここだけ切り取ると達観系かと思われるがそんなわけでもなく、単純に成長しないだけ。
ナギ、アイリの付き合うまでの流れは2人の悩み、葛藤に主人公が救いの手を差し伸べて、そこにヒロインが惚れて~といった具合だが、主人公が受け手に徹していて、ヒロインの問題を他人事のように感じてしまう場面が多かった。
 

ソラルートだけでよくね?

…言い過ぎた、ソラとヒカリルートだけでよくね?

そう思えるくらいにはアイリ、ナギルートの存在価値があまり見いだせない。この2ルートを削ってその分を2人のルートに注いであげたら名作になれたかもしれないなと思う。

 

以下本作の重要なネタバレ注意

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソラルート、感想(めっちゃネタバレ注意)

ソラの正体

突然現れたもう1人のヒカリことソラの正体はいわば「未来から来たヒカリ」。そのため、タクトとヒカリの思い出も知っているし未来から来た分料理などの腕もヒカリより高い。そんなソラが今に来た理由は「タクトに自分の気持ちを伝えるため」だった。

彼女の世界、つまり本来の世界だとヒカリはタクトに想いを伝えられないまま、映画撮影の無理がたたったタクトの最期を看取ることになってしまう。その後見ることができなかったタクトの遺作を意を決して見始めると突然あらすじのような展開になった、というのが真相。そこでソラはタクトの体調を常に気にかけて病院に行かせたり、タクトへの想いを打ち明けたりして、過去の無念を晴らすかのようにしていた。しかし、その影で自分がクヨクヨしているうちにソラにタクトを取られたと泣くヒカリ。ソラはそんなヒカリにタクトの前で自分の気持ちを正直に伝えろと発破をかけ、ヒカリもそれに従って想いを打ち明ける。ソラはその様子を満足そうに見ると…

次の瞬間、ソラがいるのは上映が終わった教室の中。ヒカリとしてもうこの世にいないタクトに感謝を告げつつ映写機をとめた。

 

感想

まじで今まで何見させられてたんだってくらい感動した。粗いながらもこのルートのためにコツコツと伏線を作り続け、最後の最後に爆発、そしてEDが流れ終わった後にさみしい雰囲気で終わる。このラストに完全に呑まれた。

ソラが飛んだのは過去ではなく、あくまでドュメンタリーのように撮っていた「映研の日常という映画」の中なのである。恥ずかしさのあまりこっそり部屋を抜けており、タクトの死後までみることのなかったその映画をヒカリ(ソラ)がみることでその中の、ソラにとっては過去の世界に入り込んだということだ。

つまりその間にタクトの死を回避したところでタクトの死がなかったことにならないし、ヒカリとタクトが結ばれてもそれは映画の中の話なのでパラレルワールドという風にもならない。そんな残酷な結末でも確かにヒカリは後悔を解消し、前に進むことができた。この寂寥感と満足感のバランスがかなり胸に刺さった。

タクトが死ぬまでの描写はかなり少なかったが、それでもヒカリの絶望やそれでもなんとか前を向こうと料理や勉強を頑張り、だんだんとソラのような雰囲気になっていくまでの過程は涙がでた。

シナリオの完成度こそお世辞にも高いとは言えないが評価の高い「sign」「空恋」の両曲とシナリオのリンク率は高く、あの曲の解像度があがって鮮明になることは間違いないので、もし楽曲が好きならソラルートのみお勧めできる。